花弁の数だけ、愛してよ。





木の根元に咲いている、名も知らない、雑草と分類されるような花たち。



その中から手ごろな花を見つけて、ひとつだけ摘む。



小さいけれど、沢山の花弁をもった、可愛い花。



ごめんな、と心の中で摘まれた花に小さく謝罪してから、その花の綺麗な花びらをひとつ、摘む。







ぷつん。







小さく揺れて花びらとお別れした名も知らない花か、名残惜しそうにゆらゆらとゆれる。
俺の右手に摘まれた花弁は、それに応えるかの様に、はらり、と俺の手から逃れて地面に落ちる。




ぷつん。




「すき」




もうひとつ。

ぷつん。




「きらい」




さらにもうひとつ。

ぷつん。




「すき」








「君が花占いをするような子だとは知らなかったね」


隣で一緒にひなたぼっこをしていた(もとい、有能な部下を拝み倒して少しだけ休憩を与えてもらった)双黒の男が、面白そうに俺が弄んでいる花に目をやった。
小さくて真っ白な花は俺が摘み取った分だけ花弁が少し欠けているけれど、やっぱり健気にきれいだ。
指先で花をくるりと回転させつつ、俺は彼の声に答える。

次はどの花弁がいいだろう。


「いいじゃん別に、たまにはやりたくなるもんなの」
「そうなのか?私はそうとは思わないが」
「おれのかってなのー。きらいっ」


ぷちっ。

小さく音を立てて、小さな花弁たちが舞う。
うつぶせに倒れて肘で身体を支えるようにしている俺の目の前で、小さな白い花弁たちが緑の芝生を彩る。


「すーき」


ぷち、またひとつ。


「きーらーいっ」


ぷち、もうひとつ。


「……エドワード、それは私と君との仲の占いかい?」
「そうだとしたらどうする?すーき、きらいっ」
「そうだな、私なら」












ぷつり。











「あっ」

右手からなくなる、白い花。
彼の手の中にある、白い花。
ほんの少し花弁を摘まれて欠けているけれども
それでも尚かわいくてきれいな、花。









「これ全部、好き、にするかな」








にっこり、微笑んでみせた。


「……花占いの意味ないじゃん」
「占いなんぞに頼らなくとも、私はこの沢山の花弁の数だけ、君を愛してるよ?」
「……うそつけっ」
「嘘ではないよ」
「うそだ」


だって、あんたの愛はそれっぽっちじゃないだろ?


言ったら笑い出しそうだから、言ってやんなかった。
そしたら彼はまたにっこりと笑って、








「あぁ、そうだね。この花弁よりももっと、君を愛しているよ」




……やっぱりこの男は何処までもタラシだと思った。






end











こんなんでましたけどー(某占術師)

マガジンで流した小説の再録でございます。何故かこっちは携帯サイトに乗せてない。何故。(しらね)



マガジン流さなきゃ!と久々に小説ががっと打ち込んだら何故かまぁシリアス哲学しちゃって、
「おいこれどーすんだよっ!」ってなったので、
とりあえず甘く!を目指してみた代物。

……甘くなりませんでした……orz

ていうかロイさんの頭が可笑しいだけになりました。
なにこいつ!なにこいつ!!(落ち着け)


……もっとちゃんとしたもの書きます。はい。


あ、シリアス哲学したほうは携帯サイトのほうに放置してありますので、
もし興味のある方でマガジン購読してない方はどうぞ。
……購読してる方はもう見たと思われるので……。(レッツ使いまわし)



題名の正式名称は
「花弁の数だけ愛してよ」

下記のサイト様からお題お借りしました!
これからもちゃっかりお世話になりに行こうと思います(をいぃ!)

白いかべ
管理人:識乃さま
http://tohuu.web.fc2.com/




2007.4.29